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以下について考えていきます。

・事象の地平線(地平面)

 ブラックホール近傍での空間、時間

・潮汐効果について

 人間の頭とつま先での引力差

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[事象の地平線(地平面)]

白色矮星と中性子星に続いてはブラックホールのお話になります。ブラックホールは一般相対性理論での出来事になります。ちなみに白色矮星は電子の縮退としての物性の世界、中性子星は原子核やその内部ではクォークが出現する素粒子物理学の世界でした。

ブラックホールの話題が出るとよく取り上げられるのがシュバルツシルトが求めたブラックホール解、シュバルツシルト解です。これはアインシュタイン方程式をM(質量) =1、J(角運動量) = 0, Q(電荷) = 0 として解いたものです。つまり、ブラックホール化した恒星は、化学組成や温度、密度などの恒星を特徴づけていた情報は喪失し質量Mと角運動量J、電荷Qの三つの情報のみが残ります。「ブラックホールに毛が三本」の由来です。

下記の式がシュバルツシルト解にあたります。

シュバルツシルド解-1.png

この式の第1項は時間に関するもので、第2項は空間(距離)に関するものです。この話をする前に自由落下に関する力学的エネルギーに関して少し説明します。力学的エネルギーは保存されるので以下のように記述することができます。

力学的エネルギー = 運動エネルギー + ポテンシャルエネルギー = 一定

U = 1/2 mv^2 + (-GMm/r) = 0

ここから式を変形していきます。

1/2mv^2 = GMm/r

r = 2GM/v^2

v = c(光速)とすると、シュバルツシルト半径Rsが求まります。

Rs = 2GM/c^2 

具体的に数値を入れてみましょう。

M = Ms(太陽質量) = 1.99 × 10^30 kg

G = 6.67 × 10^-11 Nm^2kg^-1

C = 3.0 × 10^8 ms^-2

上記値を式にあてはめると太陽がブラックホールになる半径が求まります。

Rs = 2.95 × 10^3 m → 3.0 km

お気づきのようにRsは上記のシュバルツシルト解の式の中にあります。

2GM/c^2 をRsに置き換えます。従って、以下のように幾分スッキリした式になります。

シュバルツバルト-距離に関する-10.png

第2項は空間(距離)関する項ですが、時間と角度を固定して以下の式を導きます。(dt = dθ = dφ = 0)ここでこの第2項を抜き出し解を求めてみます。

シュバルツシュルト-距離20.png
シュバルツシルト-距離21.png

この式はブラックホールの影響を受けている空間の解です。

この解を見るとブラックホールの近傍ではlog項の分のだけ空間がのびるよにみえます。

更に第1項の時間に関する項をみると(dr = dθ = dφ = 0として)

シュバルツシルト-時間に関する-01.png
シュバルツシルト-時間に関する-02.png

 距離rがブラックホールから十分に遠い(離れている)場所では時間はτ=tですが、距離rがシュバルツシルト半径Rsに近づくほど時間τの遅れが顕著になります。

このように、ブラックホール近傍では空間も時間ものびるため、シュバルツシルト半径Rsに至るには無限大の時間がかかり到達できないということになります。

この特異なラインまたは面を事象の地平線(地平面)といいます。

[潮汐効果について]

ブラックホールに落ちていく場合、その物体には潮汐力がかかります。どの位の力がかかるのでしょうか。

ブラックホールに落ちていくのが人間だとしたとき、つま先から落下するとき先端(つま先)と後端(頭)では引かれる力は異なります。式であらわすと以下のようになります。

シュバルツバルト-距離に関する-16.png

 (因みにΔr << rとしました)

 地球表面での重力加速度(ge = -GMe/Re^2)と比較してみます。

 ここでMeは地球質量、Reは地球半径、Δr=1mとします。

 rsはシュバルツバルト半径です。

シュバルツバルト-距離に関する-17.png

具体的な数値で検証してみます。

太陽質量をMs、太陽のシュバルツシルト半径をrsとします。

太陽程度のブラックホールの場合、

Re :6400 km(地球半径)

rs  :3.0 km(太陽のシュバルツシルト半径)

としたとき、計算した結果から導いたものが下記の式になります。

(Re/rs)^2 ⇨ 4.6 × 10^6

           ↓

シュバルツバルト-距離に関する-18.png

Msは太陽質量ですが、質量を大きくする場合は太陽質量の何倍と表します。例えば、10倍の場合、

 (M/10Ms)

と表します。

太陽がブラックホールだとした場合にどの程度の潮汐力かを見ると、大体  ~4×10^6 程度あるので、太陽質量ブラックホールのシュバルツシルト半径(事象の地平面)にて「つま先」をブラックホールに向けた状態の場合、「つま先」と「頭」の間には100万倍程度の重力の差があります。それにより体は引き延ばされ、多分あっという間にスパゲッティ化しますね。

ではとてつもなく大きなブラックホールの場合、例えば10^10倍程度のときですが、計算すると ~10^-14 と軽微なのでいつの間にか事象の地平面を越えるという事態になります。一度事象の地平面を超えると二度と戻れません。怖いですね。

          ◆

ブラックホールに関する雑学でした。

arakata
masakappa@gmail.com

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