以下について見ていきます。
・激変星
・磁場の弱い激変星
・磁場の強い激変星
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激変星には以下の種類があります。
激変星は白色矮星と普通の恒星の近接連星系です。
[激変星]
近接連星系の白色矮星は伴星のガスがその表面に降り積ります。この現象を質量降着といいます。
激変星は変光星の一種で、明るさが数秒から数年の時間スケールで激しく変動するのが特徴です。伴星は大概は太陽のような主系列星になります。この近接連星系は軌道周期が80分~9時間と非常に短く、そして二つの星の距離は太陽の直径に収まるほどでオーダーとしては10^8-10^9mほどになっています。かなり狭い範囲なので驚きです。
[磁場の弱い激変星]
磁場が弱い白色矮星では降着円盤が惑星表面まで達します。
・古典新星
増光は可視光の等級で8-20等まで様々です。減光は一ヶ月から数年程度で見えなくなります。
この現象は伴星から質量降着によって白色矮星に降り積もった水素が、
強い重力によって高温高圧状態になりこれにより熱核反応を起こすために発現するものです。このような過程で行われるので十分な水素が降り積もるのに数千年~一万年と見積もられています。“空の異変”について古書に残っているものが少ないのは発生周期が長いためと考えられています。
・再帰新星
増光の仕組みは古典新星と同じです。古典新星で二回目の新星爆発があったものを再帰新星と呼んでいます。現在までに十個ほど観測されておりサイクルは20-80年です。軌道周期は18時間-460日と普通の激変星に比べてかなり長いです。
この白色矮星の伴星は赤色巨星です。それにより降着する水素が普通の激変星に比べて一桁高いことが知られています。これにより古典新星よりもタームが短いと考えられています。
・矮新星
アウトバースト(急激な増光現象)を示す激変星です。しかしその増光は可視等級で2-5等程度です。爆発の再帰周期は1-3ヶ月で再帰新星よりも更に短い周期で爆発しています。
爆発現象を起こすのは白色矮星本体ではなく降着円盤で起きていることがわかってきています。矮新星のような質量降着が低い星では、円盤の外縁部は温度が数千Kの中性状態の水素と温度が10^4kで電離した状態の水素がそれぞれ安定した状態で存在します。外縁部の低温の状態から高温の状態に遷移するときに円盤を満たしているガスの粘性が上がり、白色矮星への質量降着が一気に増えて爆発するというメカニズムです。
矮新星は上述のように降着円盤で主に放射をしています。もう少し詳しく見ると円盤の外縁部では可視光で光り、内側では紫外線を放射しています。更に降着円盤が白色矮星の表面に届くと、このとき円盤内で起きているよりも強い摩擦が発生します。これにより紫外線より短い波長のX線を放射するというメカニズムのようです。
・新星様変光星
伴星からの降着率が高いため降着円盤の外縁部は常に高温の状態になり、それにより常に爆発している状態に見えます。このような天体を新星様変光星といいます。
・りょうけん座AM型星
激変星の中でも軌道周期(公転周期)が短い星系で、最短のものでは5分という短さです。これほど軌道周期が短いものはおそらく二つの恒星の距離も小さいと予想されます。従って伴星は普通の恒星ではなく、同じ白色矮星もしくは水素を使い果たしヘリウムで核融合している恒星と考えられます。
[磁場の強い激変星]
この激変星は磁場が強く、中でも磁場が10Tを超えるものを強磁場激変星とよんでいます。
・ヘラクレス座DQ型星
降着円盤の物質は暖められることで電離され、この電離ガスが強い磁場に当たると磁力線の周りを旋回しはじめます。このため、降着物はこの磁力線をよぎって白色矮星に落ちることができません。従って降着円盤は磁場の圧力と円盤のガスの圧力が釣り合うとことで終わります。これにより行き場を失った降着流は白色矮星の磁力線に沿って極方向に移動しそこに降着します。降着流は柱状になります。これを降着柱と呼びます。降着物はこの柱内を自由落下して超音速流となり表面間近で衝撃波となります。このとき硬X線を放射します。そしてこの硬X線の幾らかが磁極の表面を照らすことで軟X線を放射することになります。衝撃波は白色矮星の表面まじかで発生するのでX線は自転により観測者から見え隠れします。X線の強度は自転と同期して変動します。
・ヘラクレス座AM型星
磁場が強すぎるため伴星から流れ来る降着物は降着円盤を作れません。降着物は降着円盤を作らず磁場の沿って白色矮星の磁極に到達します。そこに降着柱が発生して白色矮星の表面近くで衝撃波が形成されX線が放射されます。X線はヘラクレス座DQ型星と同じように変動します。
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以上が降着円盤と白色矮星に関するお話でした。