作成 2020/02/09
更新 2020/08/29


白色矮星について、以下のことを見ていきます。

 ・形成
 ・構造
 ・大きさ(質量と半径)
 ・表面重力加速度

 
[白色矮星の形成過程]
白色矮星は恒星が潰れてできる星です。従って主系列時代の恒星の質量により、できる白色矮星の構成元素は異なります。
主系列とは水素によって核融合する恒星のことをいいます。

恒星質量の違いによる白色矮星の構成元素について。
1)恒星質量が0.46Ms以下の場合は、水素の核融合で主成分はヘリウムです。
2)恒星質量が0.46~4.0Ms以下の場合は、1)の過程後に、ヘリウム3つで炭素となり、更に炭素とヘリウムが反応して酸素となっています。
3)恒星質量が4.0~8.0Ms以下の場合は、2)の過程後に、中心部では炭素が核融合し、酸素ネオンマグネシウムから形成されています。
※Ms:太陽質量

このように恒星の元の重さにより産出される元素が異なります。大きな恒星ほど白色矮星のコアは元素数が大きな元素になっていきます。

  
 [白色矮星の構造]
 白色矮星は冷えていき縮退して止まります。このときの縮退は電子による縮退です。この状況をフェルミ粒子による縮退と呼びます。世の中には、ボーズ粒子とフェルミ粒子の二つがありますが、フェルミ粒子は同じ場所に複数存在できない粒子のとです。電子の場合はスピンという概念があり自由度は2つあります(上向きと下向き)。従って同じ場所に二つの電子しか存在することができません。
 これは絶対零度になったとしても、電子は一つの場所に二つしか存在することができないのでこれ以上潰れることはありません。白色矮星は電子の縮退圧で支えられているのです。
縮退:
 恒星は核融合などによる熱運動の圧力、あるいは放射の圧力によって星が持つ重力を支えています。半整数(n + 1/2で表される数)のスピンは絶対零度でも有限の運動量を持ちます。この運動量が圧力(縮退圧)を生みます。このような星を縮退星といいます。

 
 
 
 [白色矮星の大きさ]
 恒星は重さに従い半径が大きくなるものですが、白色矮星は重くなるに従い半径が小さくなるという性質があります。
 これは電子1個あたりの力学的エネルギーを考えることで説明できます。
 (『ブラックホールと高エネルギー現象』小山勝二・嶺重慎[編]のP5~ を参照)

白色矮星の内部で微小体積dxdydzの中で\( (p_x,p_y,p_z)と(p_x + dp_x,p_y + dp_y,p_z + dp_z) \)の間の運動量を持つ電子数dNを考えます。
 
  \( dN = \frac {1}{ℏ^3}・dxdydzdp_xdp_ydp_z \)
 とします。これを矮星全体にわたり積分します。

 体積をVとしたときの総電子数は以下のとおりです。
 
  \( N ≈ \frac {V} {ℏ^3}・\frac {4π} {3}・P_F^3 \)

 白色矮星の半径をRとすると、運動量は

  \( P_F ≃ ℏn^{ \frac {1} {3} } ≃ \frac { ℏN^{\frac {1} {3} }} {R} \)

となります。ここでnは電子数密度で  N/V です。( \( V ^{ \frac {1} {3}} \)は半径Rとみなします )
 そして、電子1個あたりの運動エネルギーKはフェルミ運動量( \( \frac {P_F^2} {2m_e} \) )を用いて

 \( K ≃ \frac {P_F^2} {2m_e} ≃ \frac {ℏ^2 N^ {\frac {2} {3}} } {2m_eR^2} \)
  
 となります。ここで\( m_e \)は電子の質量( \( 9.1 × 10^{-31} kg\) )です。

 次に重力エネルギーを考えてみます。
 電子1個あたりの運動エネルギーWですが、白色矮星の質量をMとするとその質量はほぼ核子(陽子、中性子の総称)が担うので
 
  \( W ≃ -\frac {GMm_u} {R} ≃ -\frac {GNm_u^2} {R} \)

 ここで\( m_u \)は電子質量単位 \( (1.66×10^{-27} kg) \)です。

 求めたKとWから
\( E ≃ K + W ≃ \frac {ℏ^2 N^ {\frac {2} {3}} } {2m_eR^2} – \frac {GNm_u^2} {R} \)

 この式より
 \( R ≃ h^2 /Gm_{e}m_u^2 × N^{\frac{1} {3}} \)
となるので、これよりRとNの関係は以下のようになります。
 \( R ∝ N^{-\frac{1} {3}} \)
 
 半径と総電子数の関係は反比例の関係にあります。総電子数(つまり質量)が増えるほど半径が小さくなっていきます。
 


[表面重力加速度]
  表面重力加速度で地球と白色矮星で比べてみました。
  地球では表面重力加速度は1G、つまり\( 9.81 cm/s^2 \)です。
  表面重力加速度 \( g = \frac {Gm} {r^2} \) で算出します。
  各パラメーター値は以下とします。

    \( G : 6.67 × 10^{-11} Nm^2kg^{-1} \)
    \(m : 1.99 × 10^{30} kg \) (太陽質量の白色矮星)
    \(r : 6.4 × 10^6 m \) (地球半径程度の大きさの白色矮星)

白色矮星の表面重力は \( 3.24 × 10^6 m/s^2 \) となります。
ですので、白色矮星の表面重力は 約3万G になります。
人間はペシャンコになりますね。

arakata
masakappa@gmail.com

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