貴重な資源である金 – ゴールド – はどこで作られているのでしょうか。ごく素朴な疑問が浮かぶことがあります。
恒星の中で起こっている核融合?、どんな大きさの恒星でもできるのか?、それとも違う過程でできるのか?、疑問は次々に浮かびます。
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ビックバンから約138億年の現在、私たちの目の前に輝く太陽は水素からヘルウムをせっせと作っています。つまり、核融合を起こして水素をヘルウムに変換しています。
ビックバンから少し経った宇宙には沢山の水素と少しのヘルウムがありました。この元素たちが集まってガスの塊となり、やがて自重で圧縮されて核融合をはじめます。
そして水素を使い果たした恒星の質量が0.46Ms(太陽質量)のときは、中心核にヘリウムが残ります。このように恒星質量によって残る元素は異なります。
恒星の活動はこのような感じで核融合を起こして行き、炭素、酸素、ネオン、マグネシウム、やがって鉄にたどり着きます。
鉄を生産する恒星のサイズは太陽質量の8~30倍で、鉄は安定した元素なのでこれより重い元素は恒星の核融合では作られないです。
このような太陽質量の8~30倍の恒星の最後は「超新星爆発」となります。この爆発のときに鉄より重いニッケルからウランまでの元素(貴金属類を含みます)ができます。
できあがった元素たちは宇宙空間に放出されます。その星屑の中から新しく恒星ができ、恒星の周りをまわる星屑の元素たちはやがて集まって惑星を形成します。
黎明期の惑星では、その内部で重い金属は中心部に沈み比較的軽い元素は表面に浮かんできます。
私たちの地球は比較的鉄が多く含まれる惑星です。含有率は30%以上なので地球は鉄の惑星といえます。
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ほかにも金を作っている場所はあるのでしょうか。
もうひとつ、重い元素を作る活動があります。それは中性子星同士の衝突・合体です。
2017年08月17日に重力波を検出しました。中性子星の合体によるものです。
中性子星同士の合体では、ブラックホールにはならず中性子星となり、そしてマグネターと呼ばれる星になりました。
このマグネターは1秒間に数百回回っており、また地球の1000兆倍の磁場を持つ天体になっています。マグネターが生み出される過程で重い元素(貴金属類の元素など)を周辺に撒き散らします。
観測により鉄より重い元素が大量に生産されたことが検出されたのです。
参照:「<天体物理学の雑学> 中性子星 その2」
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ところで、調べてみたところ金の採掘量と埋蔵量は合わせて総量25万トンほどであることがわかりました。地球の総重量から見るとごくわずかですね。価値が高いことは想像できます。
単純に現在の金1gの価格から総量の金額を見ると、
1g 6,449円
なので、約1610兆円になります。
ちょっと感覚的にわかりにくいので、100gでみると64万5千円です。
この時世なので金の価格が上がっていますね。(2020/04/07現在)
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火星や金星、小惑星帯などにも希少金属が埋蔵されている可能性は大いにあります。
多くの民間企業が宇宙に行く計画を立てていますが、すぐそこに太陽系版ゴールドラッシュが待っているかもしれません。