著者 ポール・アンダースン (Poul Anderson)
翻訳 浅倉 久志
出版社 創元SF文庫
翻訳出版 初版 1992年
あらすじ
核戦争後、復興を果たす人類は新たな世界を求めて優れた科学者50人を乗せた恒星船<レオノーラ・クリステイーネ号>でおとめ座ベータ星に向かった。しかし、途上で減速用制御部を失い、途方もない旅に出ることになる。1G加速で延々と進むことでやがて光速に近づき地球時間の1万年、10万年、、、が過ぎ去る。人智を越えた世界に行きあたる人々はいかに行動するのか。
感想
ブルーバックス「銀河旅行 PART II」を読み耽った私としては、バサード・ラムジェットというガジェットが出てくるこの作品に対して高まる気持ちを抑えるのが難しかったです。
どのような推進システムかというと、進行方向に広大な電磁ネットを広げて宇宙空間中の水素原子を取り入れ、それを用いて核融合を起こして進む推進システムです。このラムジェット推進システムは燃料を宇宙空間から取得するので、事実上1G加速を無限に続けられるので宇宙の果てまでも人間の寿命内で到達することが可能と言われています。
ただし、あまりにも時間をかけると相対論効果で地球に残した恋人や親族、友だちには二度と会うことが出来ません。それどころか、慣れ親しんだ文明さえも無くなっている可能性があります。恒星間旅行とは覚悟のいる旅だということがわかります。
このようなことを考えると<レオノーラ・クリステイーネ号>の乗組員は精神的にかなりタフで無いと厳しい状況になりますよね。彼らがいかに乗り切るのかも読みどころです。
是非読んでみてください。