「語冷泉院の天喜2年、おうし座に木星ほどの明るさの客星が現れた」
藤原定家が書き記しています。
彼は大変なメモ魔人で自分が生まれる以前の伝聞を書き残しています。このほかにもおおかみ座の超新星、カシオペア座の超新星などを記しています。
記録は昭和初期に英訳されます。これが、欧米の天文学者の間で話題になるのです。
それは、おうし座の角にある「かに星雲M1」と呼ばれる天体が、「超新星爆発」を起こした名残だという貴重な記録だったのです。
出典:hubblesite
おそらく太陽の8倍を超える質量をもつ恒星として誕生したその星は、太陽の10万倍の光度で輝き、そして生き急ぎ1000万年で終末を迎えます。しかし直ぐには逝きません。燃えカスのヘリウムを燃やし、更に炭素、ネオン、マグネシウムと燃やしていきます。姿は大きく膨らみ太陽の数百倍となり赤色巨星へと変貌していきます。燃料はニッケル、鉄へと変わります。
しかし、もうこれ以上核融合は進みません。鉄で終わりです。ここで一気に重力崩壊が始まります。
外側の物質たちが縮退した中性子核に激突すると大爆発を起こします。
このとき、発せられた「輝き」が天才歌人が古書に記した輝きです。
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美しいかに星雲M1を紹介しました。