恒星質量ブラックホールの最終段階を重元素を含む種族I(II)、重元素を含まない種族Ⅲに分て考えてみます。
・種族I
ヘリウムより重い元素を多く含む。この重元素は以前の恒星で作られ、その恒星の超新星爆発により宇宙空間に放出されたものを基に恒星が再構築されたもの。
・種族II
ビックバン後に作られた初期の長寿命恒星で、その内部には重元素はほとんど無い。また、この種族の恒星は動いており、銀河内を高速運動をしている。
・種族Ⅲ
宇宙で最初に誕生した恒星族で、その内側に重元素は存在しない。
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[種族IとII]
恒星は主系列星から巨星へ移動することで、やがて重力崩壊して星の最終段階に向かいます。そして超新星爆発することで中心部が圧縮されコンパクト天体ができます。
しかし、恒星質量が太陽の20倍(20Ms:太陽質量の20倍)以下では中心核に3太陽質量(ブラックホール化するのに必要な質量)に足らないのでブラックホールは形成されません。ブラックホール作る最小質量は20-30Msと考えられています。
恒星の組成が太陽と同じの場合、質量が足りていても直接ブラックホールになるのではなくフォールバックで形成されます。つまり、いったん中性子星が出来て飛び出していったガスが引き戻され、その結果としてブラックホールに足りる質量を得てブラックホールとなります。
※フォールバック:飛び出していったガスが引き戻され中心に落ちていく現象
[種族Ⅲ]
重元素を含まない恒星です。種ブラックホールと呼ばれていて、巨大ブラックホールを作る元となるという意味で名付けられました。
重元素がない恒星は100太陽質量の恒星が作れると考えられるからです。その理由は重元素が無いと放射冷却が効かず、ガスの温度は上がりやすくなるからです。
種族Iが生み出すガスの数十倍の温度になります。熱による放射が高くなるので、よりたくさんのガスが集まってきてもガスの重力で潰されない恒星となります。これにより種族Ⅲの恒星質量は数十~百太陽質量となると考えられています。
また、種族Ⅲは星風が少なくそれにより質量損失が少ないと予想されています。これは、重元素が無いので放射力が弱いためです。
種族Ⅲ 恒星の最後
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種族によりブラックホール形成の経路が異なることを見てきました。
以上、ブラックホールの形成についてでした。