身近な相対性理論といえば、カーナビです。
GPS衛星から情報を受け取り計算して自身の場所を割り出しています。
このGPS衛星は高度2万キロメートルをかなりの速度で移動しているため、地上よりも時計の進みが遅くなりますます。また、地上よりも若干重力が弱いで時計が早く進みます。
この2条件を合わせると、GPS衛星は地上の時計より少し早く進むことになります。従ってGPS衛星の時計は一日につき38マイクロ秒ほど遅く進むように設定されています。
このおかげで私たちの車は海の上や家の中を走らずに行きたい場所へ出かけることが出来ます。便利ですね。
[水星に近日点移動]
他には、相対性理論によると天体運動においては「楕円軌道は閉じなくなる」ので、例えば太陽の近日点は少しずつずれていくことになります。水星の場合も、やはり楕円軌道が閉じていないので同じようにずれていきます。
観測によると100年で570秒角ほどの移動があるようです。値は僅かですが従来の物理学(ニュートン物理学)で計算すると「誤差」が生じていました。この誤差を埋めたのが一般相対性理論です。
この理論の正しさを実証したのが、エディントンが行った「日食観測」でした。それは、太陽の周りに見える星の位置が一般相対性理論が予言するようにずれていることが確かめられたのです。
一般相対性理論によると太陽の縁を通る星の光は1.75秒角曲がることが予想されていました。しかし、太陽光度下では縁の星の光を捉えることはできません。従って、日食のときに調べることにしたのです。撮った写真と同じ場所を夜に撮影して見比べると、予想通りにずれていることが判明しました。
[相対性理論の証明書]
一般相対性理論ですが、このように天体現象の謎を解き明かすことでその正しさを証明していきましたが幾つかの課題を私たちに与えました。
重力波、ブラックホール、重力レンズです。
最近になりこれらの現象が宇宙で起きていることが観測されはじめました。
重力波(2015年)を検出し、重力レンズ(2017年)の撮影にも成功しました。そして、ブラックホール(2019年)のその姿を影絵のようにとらえるができたのです。
[相対性理論のその後]
相対性理論の正当性の証拠は次々と出てきましたが、宇宙において解析する対象はマクロだけではありません。天体物理学ではミクロな世界も重要です。例えは、高密度天体の内部で起きていることや、なにもないように見える宇宙空間で起きていることなどです。これらの解明は相対論だけでは難しく、量子力学などと連携することが必要になってきています。やがて新しい理論が打ち立てられると思います。
おそらく、新しい理論は相対性理論を傍系に押しやることになるかもしれません。それはニュートン力学の進化系が相対性理論であるようにです。ですが、私たちの社会においてニュートン力学はあらゆるところで使用されています。
新しい変革が来ても従来のものが全てなくなるわけではありません。旧来のものから教えてもらうことはたくさんあります。だから温故知新の気持ちを忘れずに未来に進んでいければいいなあと思っています。
これ、シンギュラリティにもいえますよね、たぶん。