著者 ロバート・A・ハイライン (Robert A Heinlein)
翻訳 小尾 芙佐(オビ フサ)
出版社 早川書房
翻訳出版 9版 2019年
あらすじ
1970年のアメリカ。六週間戦争が始まる少し前、冷凍冬眠が実用化されていて未来に自分を託した人々が利用していた。主人公ダンの愛猫で護民官ペテロニウスことピートは、冬になると11ある扉を開けてくれと言ってくる。ピートは扉のどれかが暖かい夏へ通じていると「夏への扉」があると信じているのだ。
親友のマイルズと会社を興したダンだったが、マイルズに裏切られて会社を追い出されてしまう。傷心のダンは自分の「夏への扉」を探すために冷凍冬眠の人となる。
感想
「夏への扉」は読んだような気がしましたが、新訳版を買って読み直してみました。
罠にはめられて失意のなか未来へ復活を誓い過去に戻る。
大雑把にいえばこんな感じの物語。若干、古さを感じるけど十分に楽しめる作品です。
物語の初めに世界情勢を数文字でさらっと語り、ピートの「夏への扉」さがしとの対比が印象的です。
未来に行くには冷凍睡眠でしたが、過去に戻るにはどうするのかと思えば、手がかりがちょっと唐突で えっ? となりましたが、一筋縄ではいかない装置はさすがです。
それと次々に出てくるお掃除ロボットたち。
2020年の現実では、iRobotのルンバを筆頭に床の掃除ロボットたち、
窓の掃除ロボットはウインドメイトたち(人間が窓に張り付けるのが前提ですが)が予言と同じぐらいに登場して活躍しています。
しかし小説のなかのロボットたちは、2020年のいまでは身近過ぎてガジェットとしてあまり萌えませんでした。
人間のあらゆることをサポートをしてくれるロボットはいつ出てくるのでしょうかね。
あとダンがお掃除ロボットについて熱く語ります。私は読んでいて面白かったのですが、普段SF読まない人は読むにはちょっと難があるかもしれません。
そしてこの小説、ネコ小説かなぁ? 少し疑問に思いますが、適度に護民官ペトロニウスことピートが出てきます。ネコがらみで印象的なのは以下の二つのシーンでした。
とあるバーでピートがジンジャーエールを飲む場面、ええっ大丈夫なの!と思うと、バーテンダーが 体にやばくない? と突っ込みを入れます。
『わかってるじゃん、あなた』と私はうなずきました。
もう一つは、主人公のダンを注射でやばい状態にした、親友(だった)のマイルズと秘書のベルがピートを捕まえようと悪戦苦闘します。猛烈に怒ったピートの反撃でボロボロになる二人の顛末は愉快。ネコの爪って痛いよなーって考えると少し二人がかわいそうですが、まあ当然の成り行きです。
作品としては、普段、SFを読まない人にもお勧めできる良作だと思います。
(お掃除ロボットの話が多いけど、、、)
PS
私は、ハイラインといえば「宇宙の戦士」が真っ先に出てきます。
内容をめぐって友達と語り合ったのはいい思い出です。