著者 宮崎 駿 (Miyazaki Hayao)

出版社   徳間書店  

 

あらすじ

「火の7日間」と呼ばれる戦争から1000年、超高度産業文明は崩壊し荒廃した大地には毒を持つ大森林「腐海」が拡がり、そこには「蟲」という巨大な昆虫のような生物たちが生息していた。「腐海」が出す猛毒な「瘴気」はそこに住む蟲たち以外には致死のガスだった。
主人公である少女ナウシカは「腐海」の辺りある小国「風の谷」に住んでおり族長ジルの娘として人々を導いていた。
ある日、輸送船が風の谷の近郊に墜落する。その船にはペジテの女王であるラステルが乗っており、助けにきたナウシカに奇妙な石を託して亡くなる。
そして巨神兵の秘密を追って現れたトルメキアのクシャナとナウシカは対立し、クシャナの部下と戦うがそこにユパが現れ仲裁しクシャナは去っていく。この後、トルメキアは土鬼との戦争のために諸国たちに出征を命じる。ナウシカは病床にある父ジルの代わりに戦地に赴くことになる。

 

感想

漫画版 風の谷のナウシカ トルメキア戦役バージョンは、宮崎駿氏が10年以上の歳月をかけて描いた全7巻の大作です。ともかく内容が濃く1ページの情報量が多いので読むのが大変でした。(会話の少ないページでも描き込みで伝えようとすることがままあります)映画版のナウシカは第二巻の中頃までの話をベースに描いているようです。ですが、漫画版のナウシカはトルメキア戦役の物語として読むのが良いと思います。
ナウシカという少女は信念を持って行動しているので、敵味方なくトルメキア、土鬼双方の者たちと底意なく接します。見返りを要求することもなくその場の最善の行動をとり、結果として皆を助けるさまに周りの人々は驚かされます。その姿は清々しくもあります。それだからこそ敵味方なく信頼を得るのです。
その中で見えてくるナウシカの人生観は「今を生きる」であるように感じました。決して先のことはどうでも良いということではなく「今」このときを精一杯に「生き」て未来を切り開いていくということです。そのような意味において、今とすぐ先の未来を生きるために力を尽くしていると思うのです(作者からの「困難でも今を生きていきなさい」というメッセージだと私は受け取りました)。その生き方の中で、敵も味方も蟲も腐海もそのすべてを、受け入れ愛おしく想い、ともに生きていくことがナウシカの生き方なんだと感じました。
話が進んでいくにつれて、腐海、蟲、巨神兵、ナウシカたちが生きている世界など、多くの謎について解き明かされていきます。おそらく気がつけば次の巻に手を伸ばしているでしょう。読み出したら止まらないと思います。
読み応えのある一作、読むべき大作だと思います。是非読んでみてください。

arakata
masakappa@gmail.com

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です